現在、ラグランジアンは次のように定義されています。
従来の定義:$L = T – V$
つまり、運動エネルギー $T$ から位置エネルギー $V$ を差し引いた量です。しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。「この差には、果たしてどのような物理的な意味があるのか?」という点です。
一方で、仮にラグランジアンを「$L = T + V$」と定義した場合、それは系全体のエネルギー、すなわち全エネルギーの保存という原理と自然に結びつきます。運動中の物体において、位置エネルギーが減少すれば運動エネルギーは増加し、逆もまた然りです。つまり、
$ΔT + ΔV = 0$
であれば、ラグランジアンの変化 $ΔL = ΔT + ΔV = 0$ となり、この形式でもオイラー=ラグランジュ方程式が導出可能であるならば、ラグランジアンの定義は「$L = T + V$」でも成立する可能性があるのではないかという視点が浮かび上がってきます。