解析力学では、「ラグランジアン（Lagrangian）」という重要な概念を用いることで、物体の運動法則を数学的に導出することが可能です。ラグランジアンは、ニュートン力学を数学的に拡張した解析力学において、物理現象の本質を捉える強力な道具となっています。
しかし、これほど重要な概念であるにもかかわらず、ラグランジアンの物理的な意味が直感的に捉えにくいという意見は、かねてから存在します。多くの教科書では、ラグランジアンを単に「運動エネルギー $T$ から位置エネルギー $V$ を引いたもの」と定義するだけにとどまり、その物理的意味については深く掘り下げられていません。
そこで本稿では、あくまで個人的な視点から、「ラグランジアンの定義には別の可能性があるのではないか？」という観点で考察を試みてみたいと思います。