光の時間は止まっている

光は電磁波の一種です。電磁波のうち、主に可視光、赤外線、紫外線が光と呼ばれます。ただし、波長が違うと呼び方が異なるというだけのことなので、電磁波も光も本質的には同じものです。

アインシュタインの相対性理論によれば、光速度で進むものにとっては時間が進みません。光は光速度で進むので、光の立場からすると、「時間は止まっている」のです。135億年前に銀河から放たれた光が、135億年かかってようやく地球に到達したとしても、光にとってみれば一瞬の出来事であり、銀河を飛び出した次の瞬間に、地球に到達したようなものなのです。

このような観点から考えると、光にとっては時間が止まっているのですから、光の形は変化することもできません。ですから、光の立場からすると、光(電磁波)の形は不変であると考えざるを得ないことになります。

一方、地球上の観測者の立場からすると、光は135億年前から現在まで宇宙空間を飛び続けてきたわけで、形が変化していると考えることも可能です。しかし、それでは光の立場からした「光の形は不変」という立場と矛盾してしまいます。

したがって、地球上の観測者の立場からしても、光の形は不変のまま、宇宙空間を光速度で飛び続けてきたのだと考えざるを得ないことになります。

電磁波が生成される際には、電場と磁場が相互に誘導しあって電磁波が生成されることがあるかもしれません。しかし、電磁波が空間を伝搬している際にも、引き続き電場と磁場が誘導し続けているという考え方には再考の余地があるのかもしれません。なぜなら、電場と磁場が誘導を繰り返しながら空間を伝搬するという物理的な現象があったとしても、光速度で移動している電磁波に追いつけないからです。つまり、電磁波が空間を伝搬している際には、電場と磁場の誘導という物理現象は寄与していないと考えるべきなのかもしれません。